おおかみ書房/劇画狼が選ぶ、2019年面白かったマンガ30個くらい。
ということで、今年もおおかみ書房&劇画狼をありがとうございました。
一応年末なので、かかわっている仕事以外で「今、読者として楽しんでるマンガって何?」の紹介をしておこうかと思います。
2018年版はここ
2017年版はここ
「知らないマンガを教えてやる」ではなく、ただ「今年個人的に楽しんだものを挙げる」なので、現時点で既に有名なものも、そうでないものもバラバラです。来年メチャクチャ流行るものもあれば、すぐ打ち切られてしまうものもあるかも知れません。が、自分にとっては「すげーマンガが始まったぞ!」ということ自体に金と時間を注ぐ価値があると思っているので、そういう評価と「面白かった」こととはあまり関係がないと思っています。
あと、ランキング記事ではありません。大体全部、日本一面白いマンガです。ここで紹介しているマンガ以外にも、たくさんの日本一面白いマンガがあります。
使ってる画像は大体最新刊。もしくは(今年出た巻の中で)一番好きなカバーアート。
この記事では紹介してないけど去年・一昨年は紹介してて、まだ連載続いているものは引き続きオススメです。
面白くなくなったから紹介しなくなった訳ではありません。
まずはいつも通りバイオレンスめいたものからだと、
はい『東京入星管理局』最高。圧倒的3D的空間描き込みと、とにかくソリッドな女性キャラが無限に暴力をふるうマンガは「この世にあるすべての物質の中でも最上級に美しい」というのがある。
同様の理由で『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』もとんでもないバイオレンスドライブ感で無敵。この1巻のカバーアートが、今年出たマンガの中で一番かっこいい。
「命の軽さの絶妙さ加減」という意味では『鬼の又鬼のアモ』もよかった。やっぱねえ、マタギはいいよ女マタギは。
『レイリ』完全無欠の大完結。何度も言ってるけど、室井大資という作家の「一コマの表情に何種類の感情をぶち込むねん」という力が異常。何度読んでもやばい。
こちらも何度も言ってるけど、
『はぐれアイドル地獄変』の、トーナメント格闘技を描く中での「穴」をつぶしまくった展開は本当にいい。
月刊ペースで32人トーナメントをここまでうまく「ダレさせずに進める」というのは中々ないと思う。忍者マンガのメソッド的な。
このあたり考えた結果、やはりソリッドな女性キャラが無限に暴力をふるうマンガは面白いということがわかります。
それはそれとして
『衛府の七忍』に出てくる全キャラの全コマがかっこいい。「そこそこのコマ」が一切ない。次の巻でようやく七忍が全員揃って本編突入くらいか。じゃあ来年もいい年になるじゃないか。
2019年3大相撲マンガ、『火ノ丸相撲』と『バキ道』、
そして『えんこうさん』。
知らない人のために再度言っておくと、「人間と河童が相撲を取るホラー」だけが収録されている短編集です。
この本が売れるとリイド社内でのおおかみ書房の評価が上がるので、皆さん買ってください。
あと『ハニワット』の3巻の表紙も実質上相撲。
ハニワといえばもちろん、
久正人のハニワ仮面ライダーこと『カムヤライド』も、「2号ライダーの登場のさせ方」が最高すぎるし、そろそろいつも通りの「パズルみたいなマンガ」が始まりつつあるので素晴らしいですね。
『ノー・ガンズ・ライフ』好きな人は
『カラーレス』を読むと適正バッチリです。これ、モノクロになってしまった世界を舞台にして「色」を効果的に使っているマンガなんだけど、紙の単行本でもそのあたりがキッチリ押さえてあっていい。
このマンガが掲載されているコミックボーダーは、要するに「リイド社のHEROS」みたいな感じなんだけど、『メイヤー・オブ・ヘルランド』 とかも面白いので、来年もいい年になりそうな気がしますね。
主要キャラほとんどの目つきが最悪に悪いマンガはいいマンガ!
ということで自動的に『オオカミライズ』もいいマンガ。令和の世に、そんな石川賢みたいな顔した奴がいていいのか!
本を持ってる手が汚れそうなマンガはいいマンガ!
『ジンナイズ』は今連載しているマンガの中でトップクラスに紙が黒い。めちゃくちゃな構図のダイナミック見開きも多いので最高。
『キラーエイプ』も面白い。3巻までの「戦争練習編」を経て、一気に話が物騒になってきた。
カニバリズムが描かれているマンガはいいマンガ!
食人×村社会サスペンス『ガンニバル』が今最高に盛り上がっている。主人公の奥さんが「目の化粧だけをあんまりしない美人」なのがとてもいい!
ラーメン屋とか床屋に置かれている漫画ゴラク作品はいいマンガ!
令和の時代によく出てくれた『とうせんぼう』。四角いヤクザがとにかく「通さない」だけでここまで毎回面白いのは反則。
このノリのまま30巻くらい続いて、どこから読んでも同じ感じで面白いマンガになってくれたら嬉しい。
警察/ヤクザ関係のものだと、
『潮騒の凡』も丁寧に怒りと復讐の火種が蒔かれてってるので来年面白い気がする。
↑の相撲の話のときに書き忘れてたけど、
『男塾外伝 大豪院邪鬼』7巻で、卍丸が相撲と戦っているので必読。
来年発売される8巻では、(男塾本編の数年前を舞台にした話なのに)「独眼鉄が死ぬ」という、男塾でしか許されないエンタメ注入棒での読者殴りが発生します。本編登場キャラが過去を描いたスピンオフで死ぬって、どういうことだ。
最終的に『大ダーク』が一番面白い。
続いてホラー系だと、
『メイコの遊び場』。昭和の子供の遊びでそのままマクー空間に引きずり込んで精神破壊!ないいマンガ。
絵柄も湿度低めでさらっと人の精神が死んで楽しいマンガ。
『惑星クローゼット』も、ホラーに入れていいかどうかは置いといて今年もよかった。つばな先生、短編集出てほしい。
ホラー耐性がそれほどなさそうな人にオススメするのであれば『ブラックテラー』とかがちょうどいい入口になるのではと思う。
怖くない、という意味ではなく、「脳と腸が合体しない」とか「タクシーが見開きで大量虐殺をしない」という意味で。
絵柄はとてもかわいい。
『見える子ちゃん』、2巻で一気にキャラが動き出して面白さがえげつなくなってきている。
カラスヤサトシのショートホラー『いんへるの』は、人間の脳の「よくない未来を想像する部位」を異常に活性化させる。
「ホラー」の種類の多さを痛感させてくれるいい本。
『シライサン』、原作付きの作品を勝手に暴走させた、狂ったコミカライズ。セリフ回しとコマ割りがめちゃくちゃ「ウワー! 崇山祟が自由に描いてる時のやつ!!」という気持ちですごい。
今年一の「ホラー短編集」は何? と聞かれたとしたら、
満場一致で『ひとりかごめ』。
雨がっぱ少女群はこのまま日本トップのホラー作家になっていくと思う。
もうちょっとベタなのがよければ『トイレの花園さん』とかもオススメかもしれない。
吸血鬼系のホラーだと
『血海のノア』はどうでしょうか。
あと、コロコロでデュエルマスターズ描いてた松本しげのぶ先生の
『鬼太郎』が、めちゃくちゃいい鬼太郎なので読んでください。
「大人でも読める鬼太郎」ではなく「子供が面白がる鬼太郎」として、トップコロコロ漫画家のコミカライズ力がよく分かる。
あと、
『風水ペット』はホラーマンガじゃないんだけど、今年読んだマンガで一番(諸々全部含めて)怖かったのでここで紹介します。
一体どういうことだこのマンガは。
性を取り扱ったものでは、
パウンドフォーパウンドのコミカライズ
『夫のちんぽが入らない』は、原作を丁寧に膨らませつつ、だれがどう読んでもゴトウユキコオリジナル作品にしか見えない。これも来年クライマックスだなー。
『愛と呪い』、こんなに「生みの苦しみ」とか「関わる人間全員の常軌を逸した誠実さ」をストレートにぶつけてくるマンガは中々ない。
なんというか、「よく描けたなこんなの」としか言えない。
『ゼツ倫』は全キャラの全思考、全行動、全結末が一分の隙もなく狂っている。異常者の悪徳の栄えだ。
本当に読んでほしい。
『雪と松』、
BLは全然詳しくないけどコレはずっと楽しみに読んでいた。いい終わり方だった。
『幸福ごっこ』、終盤、なんか急に彼氏の戦闘能力が爆上がりして「え、何? 今俺何読んでるの!?」ってなるので皆さんもなってください。
6月に原画展をやらせてもらったことをきっかけに改めてミステリーボニータ作品に触れる機会があったのだけれども、
15歳少女×浮世絵の『写楽心中』はとても良かったのでオススメです。
その他ジャンルで括れないものでは、
『金剛寺さんは面倒臭い』が、5巻で最高の最終回を迎えたのに終わらない! という謎システムで「強くてニューゲーム」を開始し、6巻以降はもう本当に好きなことしか描かなくなるマンガになるけど、それは1~5巻までもそうだったので、来年も変わらず面白いということになります。
『メランコリア』
最高でしたよね。
皆さんが大好きな、上巻に描かれたバラバラの短編が、下巻で全部意味を持って繋がりだすやつです。
ちなみに宝島社の「このマンガがすごい!2020」のアンケート回答では
『有罪無害玩具』を一位にしています。
『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』、
ジェントルメン中村の「もともと持っていた最高にいいところ」が、『セレベスト』での飛び道具的成長を得て完全に完成した作品。というかこの人はデビュー時から完成していたのだと思う。精神性の変わらなさがすごい。このノリで育児漫画とか描いたら絶対面白いやつ。
『三日月のドラゴン』が面白すぎる。
長尾先生、どうなってるんですか。
我々大人が決して戻ることができないあの頃に、「踏み出したかった一歩」と「かけてほしかった言葉」が全部ある。
ということで、
最終的にやはり『キン肉マン』が一番面白いし、「面白かったマンガ30個くらい」と言っていたのに50個くらいあります。
あと、大人として『キン肉マン』を楽しんでいる人は、
『本田鹿の子の本棚 続刊未定篇』に収録されている「マッスルインフェルノ殺人事件」の回を絶対読んでください。
『キン肉マン』の今年一番面白かった回が、こっちに載っています。
ということで、マンガを褒めるのは楽しいですね。
まだまだ褒め足りないので、来年1/24発売のテレビブロスでの連載コラム『蛮種発見! 劇画狼推薦図書館』で、
『さちおくん』のいいところをメチャクチャ挙げるコラムを書こうと思います。
ご興味あれば読んでください。
直近のお仕事情報としては、↑のテレビブロスコラムの連載と、
『全身編集者』を再販したので未読の方は是非お願いします。
あとは大阪で運営している画廊モモモグラにて、
1/12まで氏賀Y太・堀骨砕三・サガノヘルマー合同異形少女展
1/18~2/8 長谷川裕一原画展
2/15~3/8 米原秀幸原画展
があります。
それではまた。
一応年末なので、かかわっている仕事以外で「今、読者として楽しんでるマンガって何?」の紹介をしておこうかと思います。
2018年版はここ
2017年版はここ
「知らないマンガを教えてやる」ではなく、ただ「今年個人的に楽しんだものを挙げる」なので、現時点で既に有名なものも、そうでないものもバラバラです。来年メチャクチャ流行るものもあれば、すぐ打ち切られてしまうものもあるかも知れません。が、自分にとっては「すげーマンガが始まったぞ!」ということ自体に金と時間を注ぐ価値があると思っているので、そういう評価と「面白かった」こととはあまり関係がないと思っています。
あと、ランキング記事ではありません。大体全部、日本一面白いマンガです。ここで紹介しているマンガ以外にも、たくさんの日本一面白いマンガがあります。
使ってる画像は大体最新刊。もしくは(今年出た巻の中で)一番好きなカバーアート。
この記事では紹介してないけど去年・一昨年は紹介してて、まだ連載続いているものは引き続きオススメです。
面白くなくなったから紹介しなくなった訳ではありません。
まずはいつも通りバイオレンスめいたものからだと、
はい『東京入星管理局』最高。圧倒的3D的空間描き込みと、とにかくソリッドな女性キャラが無限に暴力をふるうマンガは「この世にあるすべての物質の中でも最上級に美しい」というのがある。
同様の理由で『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』もとんでもないバイオレンスドライブ感で無敵。この1巻のカバーアートが、今年出たマンガの中で一番かっこいい。
「命の軽さの絶妙さ加減」という意味では『鬼の又鬼のアモ』もよかった。やっぱねえ、マタギはいいよ女マタギは。
『レイリ』完全無欠の大完結。何度も言ってるけど、室井大資という作家の「一コマの表情に何種類の感情をぶち込むねん」という力が異常。何度読んでもやばい。
こちらも何度も言ってるけど、
『はぐれアイドル地獄変』の、トーナメント格闘技を描く中での「穴」をつぶしまくった展開は本当にいい。
月刊ペースで32人トーナメントをここまでうまく「ダレさせずに進める」というのは中々ないと思う。忍者マンガのメソッド的な。
このあたり考えた結果、やはりソリッドな女性キャラが無限に暴力をふるうマンガは面白いということがわかります。
それはそれとして
『衛府の七忍』に出てくる全キャラの全コマがかっこいい。「そこそこのコマ」が一切ない。次の巻でようやく七忍が全員揃って本編突入くらいか。じゃあ来年もいい年になるじゃないか。
2019年3大相撲マンガ、『火ノ丸相撲』と『バキ道』、
そして『えんこうさん』。
知らない人のために再度言っておくと、「人間と河童が相撲を取るホラー」だけが収録されている短編集です。
この本が売れるとリイド社内でのおおかみ書房の評価が上がるので、皆さん買ってください。
あと『ハニワット』の3巻の表紙も実質上相撲。
ハニワといえばもちろん、
久正人のハニワ仮面ライダーこと『カムヤライド』も、「2号ライダーの登場のさせ方」が最高すぎるし、そろそろいつも通りの「パズルみたいなマンガ」が始まりつつあるので素晴らしいですね。
『ノー・ガンズ・ライフ』好きな人は
『カラーレス』を読むと適正バッチリです。これ、モノクロになってしまった世界を舞台にして「色」を効果的に使っているマンガなんだけど、紙の単行本でもそのあたりがキッチリ押さえてあっていい。
このマンガが掲載されているコミックボーダーは、要するに「リイド社のHEROS」みたいな感じなんだけど、『メイヤー・オブ・ヘルランド』 とかも面白いので、来年もいい年になりそうな気がしますね。
主要キャラほとんどの目つきが最悪に悪いマンガはいいマンガ!
ということで自動的に『オオカミライズ』もいいマンガ。令和の世に、そんな石川賢みたいな顔した奴がいていいのか!
本を持ってる手が汚れそうなマンガはいいマンガ!
『ジンナイズ』は今連載しているマンガの中でトップクラスに紙が黒い。めちゃくちゃな構図のダイナミック見開きも多いので最高。
『キラーエイプ』も面白い。3巻までの「戦争練習編」を経て、一気に話が物騒になってきた。
カニバリズムが描かれているマンガはいいマンガ!
食人×村社会サスペンス『ガンニバル』が今最高に盛り上がっている。主人公の奥さんが「目の化粧だけをあんまりしない美人」なのがとてもいい!
ラーメン屋とか床屋に置かれている漫画ゴラク作品はいいマンガ!
令和の時代によく出てくれた『とうせんぼう』。四角いヤクザがとにかく「通さない」だけでここまで毎回面白いのは反則。
このノリのまま30巻くらい続いて、どこから読んでも同じ感じで面白いマンガになってくれたら嬉しい。
警察/ヤクザ関係のものだと、
『潮騒の凡』も丁寧に怒りと復讐の火種が蒔かれてってるので来年面白い気がする。
↑の相撲の話のときに書き忘れてたけど、
『男塾外伝 大豪院邪鬼』7巻で、卍丸が相撲と戦っているので必読。
来年発売される8巻では、(男塾本編の数年前を舞台にした話なのに)「独眼鉄が死ぬ」という、男塾でしか許されないエンタメ注入棒での読者殴りが発生します。本編登場キャラが過去を描いたスピンオフで死ぬって、どういうことだ。
最終的に『大ダーク』が一番面白い。
続いてホラー系だと、
『メイコの遊び場』。昭和の子供の遊びでそのままマクー空間に引きずり込んで精神破壊!ないいマンガ。
絵柄も湿度低めでさらっと人の精神が死んで楽しいマンガ。
『惑星クローゼット』も、ホラーに入れていいかどうかは置いといて今年もよかった。つばな先生、短編集出てほしい。
ホラー耐性がそれほどなさそうな人にオススメするのであれば『ブラックテラー』とかがちょうどいい入口になるのではと思う。
怖くない、という意味ではなく、「脳と腸が合体しない」とか「タクシーが見開きで大量虐殺をしない」という意味で。
絵柄はとてもかわいい。
『見える子ちゃん』、2巻で一気にキャラが動き出して面白さがえげつなくなってきている。
カラスヤサトシのショートホラー『いんへるの』は、人間の脳の「よくない未来を想像する部位」を異常に活性化させる。
「ホラー」の種類の多さを痛感させてくれるいい本。
『シライサン』、原作付きの作品を勝手に暴走させた、狂ったコミカライズ。セリフ回しとコマ割りがめちゃくちゃ「ウワー! 崇山祟が自由に描いてる時のやつ!!」という気持ちですごい。
今年一の「ホラー短編集」は何? と聞かれたとしたら、
満場一致で『ひとりかごめ』。
雨がっぱ少女群はこのまま日本トップのホラー作家になっていくと思う。
もうちょっとベタなのがよければ『トイレの花園さん』とかもオススメかもしれない。
吸血鬼系のホラーだと
『血海のノア』はどうでしょうか。
あと、コロコロでデュエルマスターズ描いてた松本しげのぶ先生の
『鬼太郎』が、めちゃくちゃいい鬼太郎なので読んでください。
「大人でも読める鬼太郎」ではなく「子供が面白がる鬼太郎」として、トップコロコロ漫画家のコミカライズ力がよく分かる。
あと、
『風水ペット』はホラーマンガじゃないんだけど、今年読んだマンガで一番(諸々全部含めて)怖かったのでここで紹介します。
一体どういうことだこのマンガは。
性を取り扱ったものでは、
パウンドフォーパウンドのコミカライズ
『夫のちんぽが入らない』は、原作を丁寧に膨らませつつ、だれがどう読んでもゴトウユキコオリジナル作品にしか見えない。これも来年クライマックスだなー。
『愛と呪い』、こんなに「生みの苦しみ」とか「関わる人間全員の常軌を逸した誠実さ」をストレートにぶつけてくるマンガは中々ない。
なんというか、「よく描けたなこんなの」としか言えない。
『ゼツ倫』は全キャラの全思考、全行動、全結末が一分の隙もなく狂っている。異常者の悪徳の栄えだ。
本当に読んでほしい。
『雪と松』、
BLは全然詳しくないけどコレはずっと楽しみに読んでいた。いい終わり方だった。
『幸福ごっこ』、終盤、なんか急に彼氏の戦闘能力が爆上がりして「え、何? 今俺何読んでるの!?」ってなるので皆さんもなってください。
6月に原画展をやらせてもらったことをきっかけに改めてミステリーボニータ作品に触れる機会があったのだけれども、
15歳少女×浮世絵の『写楽心中』はとても良かったのでオススメです。
その他ジャンルで括れないものでは、
『金剛寺さんは面倒臭い』が、5巻で最高の最終回を迎えたのに終わらない! という謎システムで「強くてニューゲーム」を開始し、6巻以降はもう本当に好きなことしか描かなくなるマンガになるけど、それは1~5巻までもそうだったので、来年も変わらず面白いということになります。
『メランコリア』
最高でしたよね。
皆さんが大好きな、上巻に描かれたバラバラの短編が、下巻で全部意味を持って繋がりだすやつです。
ちなみに宝島社の「このマンガがすごい!2020」のアンケート回答では
『有罪無害玩具』を一位にしています。
『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』、
ジェントルメン中村の「もともと持っていた最高にいいところ」が、『セレベスト』での飛び道具的成長を得て完全に完成した作品。というかこの人はデビュー時から完成していたのだと思う。精神性の変わらなさがすごい。このノリで育児漫画とか描いたら絶対面白いやつ。
『三日月のドラゴン』が面白すぎる。
長尾先生、どうなってるんですか。
我々大人が決して戻ることができないあの頃に、「踏み出したかった一歩」と「かけてほしかった言葉」が全部ある。
ということで、
最終的にやはり『キン肉マン』が一番面白いし、「面白かったマンガ30個くらい」と言っていたのに50個くらいあります。
あと、大人として『キン肉マン』を楽しんでいる人は、
『本田鹿の子の本棚 続刊未定篇』に収録されている「マッスルインフェルノ殺人事件」の回を絶対読んでください。
『キン肉マン』の今年一番面白かった回が、こっちに載っています。
ということで、マンガを褒めるのは楽しいですね。
まだまだ褒め足りないので、来年1/24発売のテレビブロスでの連載コラム『蛮種発見! 劇画狼推薦図書館』で、
『さちおくん』のいいところをメチャクチャ挙げるコラムを書こうと思います。
ご興味あれば読んでください。
直近のお仕事情報としては、↑のテレビブロスコラムの連載と、
『全身編集者』を再販したので未読の方は是非お願いします。
あとは大阪で運営している画廊モモモグラにて、
1/12まで氏賀Y太・堀骨砕三・サガノヘルマー合同異形少女展
1/18~2/8 長谷川裕一原画展
2/15~3/8 米原秀幸原画展
があります。
それではまた。